こんにちは、野村クリニックの薬剤師です。
今回のテーマは「レジオネラ」です。
なぜなら、湿度が半端なく高いからです。
除湿しても、除湿しても湿度が70%を超えてくる環境が続いています。
今回はそんな環境でよく起こる感染症のうち、
在郷軍人病とも呼ばれる、レジオネラ肺炎について調べてみました。
<レジオネラとは>
在郷軍人病の原因菌とされています。
36℃で最も増殖し25℃~43℃で増殖することがわかっています。
ただ、ナトリウムイオンに弱く、ナトリウムイオンが存在する場合、増殖しなくなることが分かっています。
水中では長時間生き残り、
蒸留水でも100時間以上生き残り、
一度殺菌消毒されている水道水でも1年間生き残っているそうです。
特に、藻類が存在する水中では増殖が促進され、菌の塊であるバイオフィルムを作り出すそうです。
水のある場所にはたいてい生息しているため、河川、湖、沼、空調冷却棟の水、循環ろ過式の浴槽の水、給水給湯設備、シャワー、加湿器、温泉、24時間ぶろ、噴水、土壌を掘り起こしたときの土埃にも生息しており、
これらを原因として、感染することが分かっています。
<在郷軍人病とは>
1976年7月にアメリカのフィラデルフィア市のホテルで、在郷軍人大会が行われ、
その際、宿泊者、周辺通行人、合わせて221人が重い肺炎になり、
そのうち29人が死亡するという、重大な肺炎の集団発生が起こりました。
この原因菌がレジオネラ菌で、ホテルの空調を冷やす冷却塔の水に混入しており、
飛沫感染で集団発生が起こったとされています。
この菌は、水蒸気に含まれた状態で吸い込んでしまうと、
上気道感染するのではなく、肺炎を起こします。
女性よりも男性の方が感染しやすく、特に喫煙やアルコールの多飲が感染リスクを大きくします。
ただし、ヒトからヒトへ感染することは報告されていません。
潜伏期間は2~10日で致死率は10~15%となっています。
ただし、消毒液には弱く、普通の消毒液で容易に殺菌されます。
また、別な症状として、肺炎ではなく、
〇急激な発熱
〇悪寒
〇頭痛
〇筋肉痛 など
インフルエンザ様症状をしめす
ポンティアック熱という症状を示すこともあります。
潜伏期間は4~60時間(通常36時間~48時間)で発症しますが、こちらは致死率0%です。
しかし、なぜ肺炎またはポンティアック熱の症状がでるかはまだ不明です。
厄介なのは、βラクタム系の抗生物質が無効のため、
使う事の出来る抗生物質が初めから少ない状態で治療をしなければいけないことです。
<対策は>
〇60℃のお湯5分間で殺菌されるため、加湿器の水を一度加熱しておくこと
〇循環式のお風呂がある場合は、定期的に掃除をする。
〇浴槽のぬめりをおとす。
〇水がかかわる作業をするときは、マスクをする
などが対策になるようです。
また、マクロファージによって体内で殺菌されることが分かっているため、
〇十分な睡眠
〇適切な食事と運動
が感染予防になると考えられます。
以上、湿度が高いと感染すると考えていましたが、
お風呂や水回りのぬめりを放置すると感染するようです。
肺炎で苦しみたくないので、水回りの掃除をしっかり行って、
この湿気の多い梅雨を乗り切ろうと思います。
以上、薬剤師の独り言でした。